乳白の夏靄つつむ泥田より
水蟇(ヤゴ)ら羽化して無心の輪舞
from the paddy
wrapped in milky white
summer mist
dragonfly naiads hatch
and dance in a circle
毎日いろいろな事が起きます。
衝撃的な事件などが起きると、今日はブログにこのことを書こうと心積もりしていたことよりも、そちらに気がまわり優先してしまいます。
掲載した歌は今月の初め頃に詠いました。
田圃にはられていた水が早稲に吸水しきられず、まだ水田の状態でした。
田圃を見ながら歩いていると、ちょっと手前の田圃からふわふわと虫が浮かび上がるように出てきて輪になって空中に舞っています。
私はそのとき田圃から何が発生しているのか良くわかりませんでした。
しかも朝靄がかっていました。
<たぶん蚊だろう>
とは思いましたが、なぜか気になりました。というのは、辺りには蚊よりもトンボが飛び回っているのが目についていたからです。
小さなトンボがひょいひょいと飛んでいました。
虫の正体は何か?田んぼの上で輪を描いているなかから一匹が抜けました。私はじっとその1匹を追いました。
あ、畦の草に止ってくれました。
そろりそろりと近づきました ...... 小さなトンボでした。
田圃の中にはいろいろな生物がいます。
アメンボ、ボウフラ(蚊の幼虫)、オタマジャクシ(蛙の幼生)、ヤモリ、ヤゴ(トンボの幼虫)など。
私はこのときヤゴが変態しトンボに成った瞬間に遭遇したんだと思いました。感激!
草に止まったトンボは私がかなり近づいてもじっと動かず、身じろぎもせずそこにいました。
羽ばたくや田居のをさなのヤゴら発つ
靄の包みし文月(ふづき)の慶事
flying up
dragonfly naiads away
from the paddy…
a happy event in July
wrapped in mist
草の露 里を恋ふるや
変容のをさなのトンボ片時離(か)れず
dewdrops on the glass…
young
dragonfly
to which metamorphosed
now, must miss home
never leaves there
以上、
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<生物学的な歌へのご返歌、ありがとうございます>