山藤の朴に枝垂れて郁郁と皐月の調べふかくもわたる
wisterias in
the mountains
weeping on magnolias…
sweet fragrance
deeply flows in the breeze
the tune of May fills the air.
(C)2021Rika Inami稲美 里佳
少し体調をくずしてしまいました。ここ2タ月半ばかり気がかりなことがあり、また今月に入って新しいことにも取り組んだりし、よく眠れない日があったせいかと思っています。お天気が良いにもかかわらず、好きな朝のウォーキングにも行かなかったことも、一因かもしれません。
が、今朝は、新しくやろうとしていたことが一段落ついたので、蕨採りをしようと思い立ちました。山は青々と萌え出でる生気にあふれ、山菜も出ている頃です。実際、近所の人は山菜採りをしてきています。
ビニール袋とビニール手袋を持ち、家を出ました。家から3kmぐらい先の里山の入り口付近に蕨を採れるところがあります。去年もそこで採りました。町を抜けてから国道の横断歩道を渡り、農道をしばらく行くと集落があります。
道すがら目に入ってきたのは、五月の美しさです。あいにくの曇天ではありましたが、西空に控える山々に垂れ込み霞みがかっている雲は微妙な流れを見せていました。村里に入ると、桐の高い枝に花が薄紫色の花が咲いていて、いくつかの花はぽとりぽとりと道に散っていました。
―家に巣ごもりしているあいだに、もうこんな季節になったんだー
その少し先の坂道をのぼり山への入り口付近に、蕨が採れる場所があります。が、既に人に入られていました。白いマスクが幾枚か落ちていたのです。
ーまあ、こんなところにマスクを落としてー
蕨は採られたあとなので、もちろん期待していたほど採れませんでしたが、それよりもマスクが落ちていたことに、私はがっかりしました。
ここには大きな葉を広げ香り高い美しい花を咲かせる朴もあります。朴が咲くには早いかしらと思って見上げましたが、もう咲いていました。遮るものなく東西の陽光をいっぱいに受けて、ぽっぽっと大振りの葉のなかに白い花を咲かせていました。蕾もまだまだあります。ところが、なんとその朴を凌いで朴に接している山藤がぼおっと枝垂れ絡むように、紫色の香りゆたかに美しい花を咲かせてもいたのです。つづき
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