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2024年10月7日月曜日

最上公園/ Mogami Park ... 20241007

 

以下は、秋田県の隣県の山形県新庄市の最上公園内にある戸澤神社での短歌三首です。戸澤神社は嘗て新庄を治めていた戸澤氏に因んだ神社で、明治26年に建てられました。

 

The following are three tanka poems written at Tozawa Shrine in Mogami Park in Shinjo, Yamagata Prefecture, a neighbouring prefecture of Akita, Japan.

Tozawa Shrine is associated with the Tozawa clan that once ruled Shinjo, and was built in 1893.

:

All rights reserved (C )2024 Rika Inami 稲美里佳


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1

風韻は秋色ふふみ新庄の守り宮に透く平和(やわらぎ)のかげ

:

Autumn hues

merge with refined tones —

through Shrine trees

in Shinjō, the light of peace

blissfully glows



2

にはかにも心曇らす煩ひにとく参拝の掌を合はせたり

:

Suddenly

a rising worry clouds

my mind —

I clap my hands

in quick prayer to be solved



3

そこひより緑藻よどむ池の面に思ひ寄せして憂ひうかぶる

:

Gathering my thoughts

my worries float on the pond

green algae

stagnating quietly 

at the bottom

:

(C) 2024 Rika Inami 稲美里佳

 :



 


2024年10月1日火曜日

Prodigy Magazine September 2024

 

先月発刊された"Prodigy Magazine September 2024" に私の短歌も掲載されました。

今夏、私は或るダムを訪ね、とても複雑な思いを抱きました。

その思いを短歌にしたのですが、今も尚、私の心境はそのまま複雑です。

ダムは粛粛とした山の中にあるのですが、その山の景観が私を圧倒し、果たしてこの山中は人為によるダムがあるべき処なのかと感じたのです。
日本では、山には神様がいらっしゃると言います。
その神様に私は圧倒されたのでした。
ダムは人間の生活にとって必要であると判断されたから作られたのでしょう。
治水、農業水や飲料水の供給、電力等、聞けば私たちの生活にとっては便利極まりない設備です。
そう知りつつ、私は山の神様に圧倒されてしまったのでした。
そこに「神様が住んでらっしゃる」と感じたのです。

折しも、今年は、私が住んでいる地域では昨年につづきクマの人家付近での出没が連日のようにアラームで知らされ警戒を促されました。クマだけでなく、今年は、イノシシや、今まで聞いたこともなかったシカの人家近くの出没も報告されています。

ダム建設による生態系への影響はないのだろうか、人間以外の生物の生活領域を冒してしまったのではないのだろうか。

いやダムだけではありません。

---己が生活の利便性を求めるあまり、私たち人間はあまりにも多く自然を破壊してしまったのではないだろうか---

---それが地球の温暖化を加速させ、この惑星の老化を早め、今現在の気象異常を招き、災害が起きたのではないか---

この夏は当地も大雨に見舞われ、私がよく利用している道路沿いでも土砂崩れが起き、高速道路建設中の作業員の方がお一人亡くなりました。
その後、私はその道を車で通るたびに、被害を蔽うブルーシートを横目で確認しつつ、行き帰り心中お経を唱えざるをえませんでした。
土砂崩れから20日余り経った日に、その方が土砂崩れの地から45km離れた大仙市中を流れる雄物川の中州で見つかったと知ったときには、ほっといたしました。

こうした自分が通る道路での天災も目の当たりにし、私はこの短歌を書いたのでした。

ここには、"Progidy Magazine"に掲載されたように英語だけで書きます。

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Visiting the dam
brimmed with the breath of God
I ponder alone
the sins of humans’ hands
the weight of our deeds

 ::

Hydroelectric dam

built by humans who cleaved open
God's sacred mountain―

now, wood chips drift after the storm

of torrential rain


All rights reserved (C)2024 Rika Inami, Japan

 



 



2024年9月28日土曜日

秋日和 / Beautiful Autumn Day... 20240928

 

秋日和 容赦なき醒めた現実せまりをり我 然にあらがはず
:

clear autumn sky…
a relentless cold reality
looms over me
 … yet
I do not resist it

:
( C)2024Rika Inami 稲美里佳
:

the passion of autumn in each red leaf 
comfort before the winter’s chill
:
(C) Dennis Gobou

:


numbered 

are the leaves that fall

and days to pass

:

(C)Ashoka Weerakkody  

 


2024年9月13日金曜日

秋桜-Cosmos......20240913

 

地をめぐり小花咲きつぐ秋桜(こすもす)の宙(そら)へあかるむ坂道をゆく

:

circulating around the earth
florets go on blooming
I walk up
the slope Cosmos brightening
to the Universe

:

From  “TANKA HARAKO” by Rika Inami

:

The above is my early tanka work.

作品は拙著『短歌 原狐』からです。
初期作品(2004年)です。
秋田県湯沢市の秋ノ宮までドライブした時に、
コスモスがとても印象的だったので詠いました。
先日からペーパーバックの作成を開始しています。

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Sun's rays
lavish upon the dawn ...
cosmic charm
:
Ashoka Weerakkody


2024年9月7日土曜日

キバナコスモス / Golden Cosmos... 20240907

 

風にゆれ我にとびこむコスモスの朝日色にし区切りの日とす

 :

Cosmos
swaying in the wind,
and flying to me
with the morning sun’s hue…
I make today a boundary day

 :

( C)2024Rika Inami 稲美里佳

 :

softest minds
rustling with breezy passage
of time
:

( C) Ashoka Weerakkody






          ---------                                                                                

じつは、この一首はキバナコスモスの色の表現に悩みました。

オレンジ系のキバナコスモスですが、できたら日本の伝統色で表現したいと思いました。

伝統色のサイトで調べると、黄丹(おうに)色がぴったりしています。


が、Google のsearch AI によると、


黄丹色は、皇太子の袍の色とされ、天皇の御袍の色である「黄櫨染(こうろぜん)」とともに「絶対禁色」でした。皇太子の地位を意味する太陽の色を表現しているともいわれています。現代では、雛人形などに黄丹色が見られます。」


他の色について書いてあるサイトでも同様の事が記載してあります。

となって、私は非常に悩みました。

私ごときの短歌に「黄丹」ということばを使ってよいものか、不遜極まりないことではないか……


どうしようか......さらに調べると、「黄丹色」は太陽が昇る色、ともヒットしました。
これだったら構わないのではないかと思い、私は4句目に「朝日色」と入れ、
漸く落ち着いた次第でした。

尚、初稿は以下のように詠いました。

風にゆれ我にとびこむコスモスの彩(いろ)あざやかにし区切りの日とす

「彩(いろ)鮮やか」よりは、具体的な色名を入れたほうが、写真無しで表現する場合、
読み手に訴えるのではないかと思い、改稿した次第でした。

結句について、何の「区切り」かは秘密です🤫







2024年9月3日火曜日

時の台風 / A True Storm...20240902

 真正の時の嵐や雨一過 珊珊去りて秋風さやぐ

:

a true season's storm...
after weakened Shanshan
pouring rain
passes through these islands
and autumn breeze rustles

 :

    (C )2024Rika Inami稲美里佳



 

2024年8月26日月曜日

お盆後 / After the Bon Festival ...20240826


すがやかに玉露こぼす若稲穂ゆだる残暑の朝明けほどけ


feeling relieved...
young ears of rice spill fresh,
crystal dews upon
a lingering summer's morn—
as if boiling in the heat


盆送りうすら色づく稲の穂の葉先ころがる露の玉かな

 
past Bon Festival…
crystal dews rolling down 
one by one
tips of the rice ears 
turning faint golden colour

 
延々と奏づる音色みっしりと実りし稲の隙の闇より

 
endlessly 
playing harmony tones
from the darkness
between the rice plants
the dense growing crops

 

( C)2024Rika Inami 稲美里佳


8月13日からのお盆、16日から18日までの送り盆行事が終わり、漸く朝散歩ができるようになりました。
ふと周りの田んぼを見ると、秋風が一帯の田んぼにそよいでいます。そして、頭を垂れてきた稲穂に目を近づけると、露が零れています。
びっしりと隙間がないほど生長した稲と稲の間から虫の音もその中から聴こえてきます。


―Thank you for your reply to the previous tanka ー

:

dearly departed ...
yet they leave behind
no void
:
(C )Ashoka Weerakkody
: