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2024年9月7日土曜日

キバナコスモス / Golden Cosmos... 20240907

 

風にゆれ我にとびこむコスモスの朝日色にし区切りの日とす

 :

Cosmos
swaying in the wind,
and flying to me
with the morning sun’s hue…
I make today a boundary day

 :

( C)2024Rika Inami 稲美里佳

 :

softest minds
rustling with breezy passage
of time
:

( C) Ashoka Weerakkody






          ---------                                                                                

じつは、この一首はキバナコスモスの色の表現に悩みました。

オレンジ系のキバナコスモスですが、できたら日本の伝統色で表現したいと思いました。

伝統色のサイトで調べると、黄丹(おうに)色がぴったりしています。


が、Google のsearch AI によると、


黄丹色は、皇太子の袍の色とされ、天皇の御袍の色である「黄櫨染(こうろぜん)」とともに「絶対禁色」でした。皇太子の地位を意味する太陽の色を表現しているともいわれています。現代では、雛人形などに黄丹色が見られます。」


他の色について書いてあるサイトでも同様の事が記載してあります。

となって、私は非常に悩みました。

私ごときの短歌に「黄丹」ということばを使ってよいものか、不遜極まりないことではないか……


どうしようか......さらに調べると、「黄丹色」は太陽が昇る色、ともヒットしました。
これだったら構わないのではないかと思い、私は4句目に「朝日色」と入れ、
漸く落ち着いた次第でした。

尚、初稿は以下のように詠いました。

風にゆれ我にとびこむコスモスの彩(いろ)あざやかにし区切りの日とす

「彩(いろ)鮮やか」よりは、具体的な色名を入れたほうが、写真無しで表現する場合、
読み手に訴えるのではないかと思い、改稿した次第でした。

結句について、何の「区切り」かは秘密です🤫







2024年9月3日火曜日

時の台風 / A True Storm...20240902

 真正の時の嵐や雨一過 珊珊去りて秋風さやぐ

:

a true season's storm...
after weakened Shanshan
pouring rain
passes through these islands
and autumn breeze rustles

 :

    (C )2024Rika Inami稲美里佳



 

2024年8月31日土曜日

むくげ / Rose of Sharon .......20240831

 

:
ゆるやかに早秋の道つづきゐむ葉叢にうかぶ木槿は白し
:
my path in early autumn
will gently stretch on ―
Rose of Sharon
floating amid thick shrubs
blooms pure white
:
( C) 2024Rika Inami 稲美里佳
:
:
-------------------------------------
crystal dew ...
purity and clarity falling
drop by drop
:
(C )Ashoka Weerakkody
:
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連日、ゆっくりと進み各地に被害をもたらしている台風10号(SHANSHAN)の進路に注意をはらっていますが、今(8月31日18時)は、近畿地方の東方、太平洋に目を置いているようです。今後、紀伊半島を北上し9月2日までには熱帯低気圧に変わるとのこと。
Yahoo News より。

台風が弱まり熱帯低気圧に変貌したとしても、雷雨や線状降水帯が発生し大雨をもたらすかもしれません。
ここ1週間ばかり、朝となく夕べとなく、台風の情報に注意を払っていましたが、油断は禁物のようです。

木槿の短歌は、台風の進路を気にしながら、早朝の雨が已んでまた軽く降ってきた雨にも打たれながら、ゆっくりと歩をすすめ散歩をしていた時に詠いました。

川沿いの道は私のお気に入りの散歩コースの一つです。

前日の雷雨で増水した川の流れから漸く目をそらし、しばらく歩いていました。この辺りには八重の木槿が咲く筈。その木槿を見ることも、この季節のその道の散歩の目当てでもあります。道の脇を見ると、咲いていました。灌木の葉叢のなかに咲く白い木槿を。去年は淡いピンク色だった筈と思いましたが、その日に見た木槿の色は、水晶のような雨露を花びらたたえ滴らせていた、思いがけない白でした。

木槿の学名は Hibiscus syriacus。 英名はRose of Sharon。
英名は、9年前にあるSNSに投稿した際に、アメリカ人の友人が教えてくれました。私は、花名の英名を調べるのが甘かったのか、そのときに学名からHybiscus 止まりで英訳してしまったのかもしれません。
"Rose of Sharon"、なんて素敵な花名でしょう。

 "Rose of Sharon"、シャロンの薔薇とは、旧約聖書の雅歌第2章に出てくる花のことです。
 
「わたしはシャロンのばら、谷のゆりです。」と、雅歌第2章は始まっています。

思えば、いろいろな詩や文章でその言葉を見ていたような気がしました。

以来、私は "Rose of Sharon"を忘れることがありませんでした。
その聖書に出てくる花は本当に木槿なのか、薔薇なのか、百合なのか、はっきりとは分かりませんが、美しい花であることは間違いないようです。

また木槿は韓国の国花でもあります。

「無窮花(ムグンファ)」、次々に咲く生命力の強さから、古くから韓国で愛でられてきたようです。この花名も強さと深さが読み取れ、魅力を感じます。




2024年8月26日月曜日

お盆後 / After the Bon Festival ...20240826


すがやかに玉露こぼす若稲穂ゆだる残暑の朝明けほどけ


feeling relieved...
young ears of rice spill fresh,
crystal dews upon
a lingering summer's morn—
as if boiling in the heat


盆送りうすら色づく稲の穂の葉先ころがる露の玉かな

 
past Bon Festival…
crystal dews rolling down 
one by one
tips of the rice ears 
turning faint golden colour

 
延々と奏づる音色みっしりと実りし稲の隙の闇より

 
endlessly 
playing harmony tones
from the darkness
between the rice plants
the dense growing crops

 

( C)2024Rika Inami 稲美里佳


8月13日からのお盆、16日から18日までの送り盆行事が終わり、漸く朝散歩ができるようになりました。
ふと周りの田んぼを見ると、秋風が一帯の田んぼにそよいでいます。そして、頭を垂れてきた稲穂に目を近づけると、露が零れています。
びっしりと隙間がないほど生長した稲と稲の間から虫の音もその中から聴こえてきます。


―Thank you for your reply to the previous tanka ー

:

dearly departed ...
yet they leave behind
no void
:
(C )Ashoka Weerakkody
:



2024年8月17日土曜日

西馬音内の盆踊 / Bon Odori in Nishimonai 20240817


昨日から送り盆に入りました。そして昨日は、送り盆の期間中816日から18日に開催されるユネスコ無形文化遺産の西馬音内の盆踊の初日でもあります。


昨夜は用事があり、少し急いで盆踊りを見に行きました。宵更けて、そして踊りの囃子方にも酔いが回って、素晴らしい囃子を聞くことができました。ビデオの中にはかなり卑猥な言葉が入っていたので、撮ったものの中からシェアするビデオを選ぶのに時間がかかりました。

ビデオの中に「櫓太鼓にあつまる踊り子は馬音(ばおん)の流れに産湯につかった綺麗なじょっこ(嬢っこ/女の子)たち」という1節がありますが、「馬音」とは、西馬音内川のことです。

 

ちなみに拙著「幽の盆 西馬音内の盆踊 / Ethereal Bon Odori in Nishimonai」のブックカバーは、真冬に馬音川(西馬音内川)の流れに差していた光に感銘して撮った写真を元にしています。

 



『幽の盆 西馬音内の盆踊 / Ethereal Bon Odori in Nishimonai』はamazonの他、秋田県羽後町西馬音内の書店ミケーネ、西馬音内盆踊り会館、イオン湯沢店物産館「虹こまち館」で販売されています。




 

 


 

2024年8月13日火曜日

2024年盆入りの迎え火 / 2024 Bon Welcome Fire 20240813

:

 盆の入り小雨ふる中み魂(たま)見む燃ゆる迎え火やうやうの安

 :

Bon starts

seeing the departed’s souls

in light rain

Burning welcome fire

at last, I find my peace

 :

(C )2024Rika Inami稲美里佳

 :

 

お盆に入りました。その準備でここ二日ばかり買物や掃除でいろいろありましたが、今日はいよいよ本番突入です。入ったら入ったでそれなりにやることが決まっているので落ち着きます。この期間で私にとって重要な家事は、813日の盆入りから816日の送り盆初日まで精進膳を仏前に2膳供えることです。
 
2膳のうちのひとつは、わたしの先祖代々から両親・兄弟姉妹へ、もう1膳は縁者の方が無く亡くなられた無縁仏へ供えます。それが、母からわたしたちへと伝えられたお膳の上げ方です。
 
以前、精進膳の写真を投稿したとき、あるソーシャルメディアの友だちから、「まあ、信心深いこと」と言われたことがありました。わたしは、そう言われて、「ん?……何か違う」と思いました。が、強いてそのネット上の友だちには何も言わず流しました。なるほど、代を継いでお膳上げをやってはいますが、「信心深い」というものとは、何か違うのです。単に死後の世界を信じて、死者の救済のために供養する、仏に縋る等の信心深さではないような気がするのです。
 
以前、Googleプラスというソーシャルメディアがありました。そこでも、盆入りに精進膳の写真を投稿したのですが、その時に、やはり別の友だちに言われたことが心に残っています。
 
「よい風習ですね。日本にいつまでも残しておきたい文化です」
 
わたしの裡には、この方の言葉が残っています。
それは私の気持ちともしっくり合っているからです。
私はただ家の仏様のために仏前に上げて供養するということに加えて、こうした事細かい風習の実行を通して日本の文化が何百年、何千年かもしれませんが、長い間、代を継いで引き継いできたのではないかと思うのです。
 
自然の流れの中に生きることで、生死一体の世界を感じ、共同体を作り、さまざまな独自の文化を育んできた日本です。現代は、グローバルな感覚をもち世界の流れの中で生きる時代ではあります。が、それがゆえに、同時に民族が代を継いで伝え、あるいは育んできたものを受け継ぎさらに伝えていこうという風潮にもあります。
 
こうした意味からも、先祖供養の「信心深さ」に加えて、わたしはできるかぎりお盆のならわしである「精進膳」「お膳上げ」を実行してゆきたいと思います。
 
短歌は、今夜焚いた迎え火を見ての1首です。
 

蝉の歌/ A Cicada....20240813

 

朝の散歩時に蝉が私の肩にとまりました。しかも直ぐに飛び去るわけでもなく、じっと留まって、辺りを見回したりしていました。何故、このことを知ったのかといいますと、私は蝉が留まったと思うやいなや、iPhoneでそっと自撮りしたからです。フォト短歌は日本語版英語版2つ作りました。蝉の留まりようがお判りになるかと思います。
さあ、このまま蝉さんを肩に飾って帰ろうと思いましたが、そうはいきませんでした。
モゾモゾと動き出して、私の服の襟元から体の中に入ってくるような気配だったのです。思わず振ってしまいました(≧▽≦)

:

いづくより飛びてきたるか我が肩に蝉のとまりてささめきにける 

:

Where did it fly
from, all the way to me?
A cicada
rests on my shoulder
whispering gently.

:

(C )2024Rika Inami稲美里佳

:



― Thank you for your reply―
:
稲美さんセミに好かれてセミロングの御ぐしがゆれる夏の木陰に

(C )岡本 信一
:

gently
a Cicada whispers, sharing ...
my loneliness
:
( C)Ashoka Weerakkody
:

ジイジイと孫と我呼ぶアブラ蝉
:
(C )石井 安憲