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2023年2月20日月曜日

シクラメンの花について on Tanka by Rika Inami (66)

 


雪雲の透けてひきゆく間に描くわが想念のあれこれかも

 

all my thoughts

and feelings to draw

while snow clouds

are moving in and out

through my heart


( C)2023Rika Inami 稲美 里佳

From Tanka by Rika Inami (66)


昨年末、近くのホームセンターで処分品のシクラメンの苗を2鉢買いました。

1鉢55円(税込)でした。2本ぐらいの花が咲いていて、ほぼ咲ききっているようには見えましたが、まだ蕾がそれなりについていたので買いました。帰宅後、すぐに2鉢を一緒にして一つの鉢に移し替え、家の中では温かいほうの自室の窓辺に置きました。寒いせいもあったのか、蕾が咲いてくるまでには時間がかかりましたが、1月末頃に蕾が咲いてきて、2月中旬にはほぼ満開になりました。

外の景色が白になる冬期、上の1首にシクラメンの花を添えてみました。


寒波鳴る荒びの風雪ことごとく真白にかへし現し身こもる

 

echoing cold wave…

the winter-raging snow 

returns

all to pure white

I shut myself in


From Tanka by Rika Inami (66)






2023年2月19日日曜日

花苑の歌について from Tanka by Rika Inami (66)

 

白雪の零るるばかりしきふれば幼なの頃の花苑(はなぞの)ぞ開()

 

unending

white snow falling

and spilling…

my childhood nostalgic 

flower garden opens up 


寒波鳴る荒びの風雪ことごとく真白にかへし現し身こもる

 

echoing cold wave…

the winter-raging snow 

returns

all to pure white

I shut myself in


( C)2023Rika Inami 稲美 里佳

From Tanka by Rika Inami (66)


この歌は、雪の降る日の散歩中に詠いました。

写真に写っている周辺は嘗て私たちは「〇〇公園」と呼んでいた庭園でした。だれでも自由に出入りでき、幼い私は、幼馴染と一緒に庭園内でよく遊んだものでした。池の鯉や亀と戯れ、昆虫採りをしたり、かくれんぼ、鬼ごっこしたり。初夏にはニセアカシアの蜜を吸ったものでした。春には、家族で花見をしたものです。

が、実は其処は公園ではなく、町の大地主の私園であると知ったのは、小学校に上がって、社会の授業中に先生から教えられてでした。知ったからといって何かが変わったわけではありませんでしたが、確かに記憶に残るような学習事項でした。それほどしっかりと先生が私園と公園の違いを教えてくださったのでしょう。ショックだったと記憶しています。

写っている建物は別荘で中ではいろいろな集まりや会が催されました。詩吟、能、茶会、句会、歌会、ロータリークラブ等々。

その後、その庭園は人手にわたり、嘗てとは違い、自由に出入りできなくなりました。近年は渡った先での管理が悪く、残念ながら荒れてしまいました。私は木柵越しに花を眺めることしかできません。

が、雪の降る日の散歩中に見た庭園は、樹々にまるで花が降りそそがれたように白い雪の花を咲かせているではありませんか。別荘も一景になり趣のある雪景色を呈しています。

タイムスリップでもしたように幼時の「公園」が私の目の前に出現したのでした。


<Thank you for your reply>


Winter embraces me
With cold laced fingertips
Pressed against my face
As I stare deep into spring
And her garden of colour


(C )Richard Lacoursiere CD



<Rika Inami/ 稲美里佳 Social Media>


<amazon Author page>


<Akita International Haiku Network>

My Tanka and me on 2526-27,47,67747880-81

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2023年1月17日火曜日

Online Poetry Festival オンライン詩の祭典---2023Jan17


山裾の雪にこもれる侘び住まゐ然にあれ世界身に近きなり


(C)2023稲美里佳


一昨日、バングラデシュの詩人会が開催したバーチャル世界詩祭典に参加しました。

昨年末開催の予定でしたが、システムの技術上の関係で延期となり年を越しての開催となったのです。

私は11月に招待されたのにもかかわらず、その後音沙汰無しだったので、パスされたのかなと心配していましたが、取り越し苦労だったようです。

招待された時点で、オンライン参加ならという条件付で私は快諾していました。

実は、2年ほど前、確かインドだったと思いますが、同様の詩の祭典に招待されたことがありました。

その時は、残念ながら即座にお断りしました。

時はコロナ禍、また現実問題として、さまざまな状況下で私はこの谷間の侘び住まいから移動する訳には参りません。

が、後日、その祭典はインターネットで行われるバーチャル祭であったことが判りました。

ブラジルの友人が参加し、祭典後にFacebook で流してくれたからです。

それを見た私は、「オンラインだったの。残念だった!」でした。

こうしてバングラデシュの詩の祭典にオンライン参加することになったのですが、一つ心配だったのは、英会話です。

うまく話せるかな〜???

バングラデシュの主催側にその旨伝えておきました。

年越して、10日前ほど祭典は延期され1月14日と15日のバングラデシュ時間・午後9時からとMessengerで伝えられました。

テーマは『Peace』、参加者各自自作詩を2作もってきて読み上げるとのこと。という読書会でした。

読書会なら以前、アメリカの俳人さんから招待されたことがあります。

そのときは聴くだけでしたが、今度は自分が朗読です。

よく話せはしませんが、朗読ならできます。

いきなりテーマをいわれたので、咄嗟に私は思い浮かんだ2首を選び主催者側に伝えました。

殊更『Peace 』にして詠った短歌ではありませんでしたが、Peaceの時に詠った歌でしたので、テーマに合っているかなと思ったのです。秋田インターナショナル俳句ネットワークに提出しネット上に掲載されている2首でした。


私の参加日は15日、参加者はバングラデシュでシュユ、ポーランド、ギリシャ、ブラジル、フランス等々十数名でした。

主催側が10名以上来てくれればといっていたので、まずまずの成功だったのではないでしょうか。


世界とのオンライン交流、日本時間では深夜の開催となりほぼ徹夜でしたが、眠い目をこすりながらも楽しかったです。

残念だったのは、「平和について」うまく話せなかったことでした。

ビデオを見ていると参加者は皆さん平和について話しています。

テーマをもっと良く理解してから参加するべきでした。

私などとんちんかんだったのではないでしょうか。

反省することしきりでした。

今後の参考にしたいと思います。



 

2022年12月28日水曜日

初雪の日の事 / On the Day of the First Snow

逝く人や仏の道に旅立つ日 初雪ふりて道しろうなる

 

my departed dear…

on the day she left 

for Buddhahood

first snow falling

her path turns pure white


( C)2022Rika Inami稲美里佳



 


2022年12月26日月曜日

森の閃光 / A Frash in Forest 20221226

 

森のなか玉響かげる閃光に守りの霊見る心地せしかな

 

in the forest

a bit flash of light

before me

I feel as if seeing 

a guardian deity

 

( C)2022Rika Inami 稲美里佳

 

 


メル友からメールが来ました。

短歌でお返事しました。

このメル友は数理学に長けていて、しばしば私に数式を交えてメールしてくるのですが、私には数式はさっぱり理解できません。あまりに高等で、理解しようと努力もしません。ということで、お互いに、言いたいことを書いてメールのやり取りをしましょうということになっています。

まあここにメール内容を少し紹介します。

----------------------------------------------------

森のせいで薪が見えない!

密林に住むな!

松の間で姦淫するな!

真っ直ぐな森よりも曲がった森の方が多い!

それぞれの木には独自の肖像画があります。


Firewood is not visible because of the forest!

Do not live in a dense forest!

Do not fornicate between three, pines!

There is more crooked forest than straight!

Each tree has its own portrait!

---------------------------------------------------

さて、わたし(Rika)は曲がった森に迷い込んでしまったのでしょうか。


Seasonal Tanka 20221226

 

その後いかに過ごされるやと思へるは絶ちがたきもの深きに留まり

 

"How have

you been since then?"

so I think…

because what I can't cut off

remains in my abyss

 

( C) 2017Rika Inami 稲美里佳

From Tanka by Rika Inami (7)


<Thank you for your reply>

homeless cat
shivers next to a chimney
a winter star —
ice - blue iris
of your eyes

starting point
of no return
Canadian geese
on the frozen lake
wind whistle

hollow tree
leafless and silent
a single snowflake
spins in the air —
your laughter

ice cubes
in the crystal glass
twirl and swirl
honey cognac
his sparkling eyes

ruby crescent
on my cup
blooming peonies
on his cheek
my hand

on his lap
a homeless cat
finds joy and comfort
my roofless heart
gets repaired with gold

@Laughing waters 2022



<Rika Inami/ 稲美里佳 Social Media>


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2022年10月14日金曜日

鳥海薊? / Chokai Thwistle?

 

かたはらの匂ひ妖しく項垂るは盛り越す鳥海薊かも

 

wilting flowers

with mysterious air

by me

is it Chokai Thistle past

peak bloom?

 

🄫2022Rika Inami

 

先日、鳥海山(2236m)に行ってきました。やや曇りでしたが、にかほ市側の象潟の鳥海ブルーラインをドライブし5合目近くの鉾立まで車で行きました。

紅葉はまだ始まったばかりでしたが、鳥海山はいつ来ても清しさあふれます。

鉾立には300台駐車できる大型駐車場、みやげものなども売られている国民保養センター稲倉山荘、鉾立ビジターセンターがあります。付近をすこし歩きまわった後、思い切って鉾立登山口から少し上のほうに登ってゆきました。

すこし登ると鉾立展望台(5合目1150m)があります。

展望台には幼い女の子を連れのパパさんがお弁当を食べていました。

私の後からは、白髪の姿勢の良いきびきびした高齢の男性がやってきました。

上着無しのシャツとズボンの軽装で鳥海山を歩きなれているという風に私は見ました。

もしかしたら、鳥海山の登山を警備している人かしらと思いまでしました。

ここで少し休み、さらに石の道を登ってゆきました。

実は、私は家の制約があり、長時間の夕方遅く帰宅するようなピクニックはNGになっています。私の健康上のせいではありません。とかく心配症の家族がいるせいで、自由な行動はできないのです。

こうして時間を気にしつつも私は登ってゆきました。

景色の写真を撮るために足取りはゆっくりでした。

なんといっても時間はまだ11時半にもなっていません。

もうちょっと上にいっても良かろうと私は判断しました。

時には結構傾斜のきついごつごつした岩場の道の途中、後ろからあの方(白髪の男性)が追い付いてきました。

「どこまで? 頂上まで?」と私は訊かれ、「いえ、その辺までです。こんな軽装ですし、家族が心配するので頂上までなんて滅相もありません。早く帰らなくちゃならないのです。もうそろそろ降りようかなと思います」

「ふむむむ……もうちょっと登るといいんだけどな。もうちょっと登ると綺麗だよ」

私は迷いましたが、誘いに乗って登ってゆきました。


はろばろと遠くあほぎし鳥海に今日は登りて錦秋たまふ

山霊の権化なるかな白髪翁なほ登れやと声を掛けにき

(C)2022稲美里佳


なるほど登るにつれて紅葉も盛んになっていました。

が、天気が曇っていたせいか、以前登ったよりは紅葉の色がくすんで見えました。

写真を撮りながらのぶらぶら歩きだったので、速度はきわめてのろく、あの白髪の男性は、すぐに私の視界から見えなくなりました。

途中で家族から電話がありました。

「もうすぐ降りていくから」と私は応えました。

じきに、あの方が降りてきました。

「もうちょっと登るといいよ。きれいだよ! もう1時間ぐらい歩くと賽の河原だよ。いや、その足じゃ2時間かな」」

「はあ、でも家族から電話があって……」といいつつ、私は上を見上げて登ってゆきました。

が、天気が曇りなので心配をかけてはいけないと思いました。

登りつつ、この辺で降りたほうが良いのかもしれない、もしかしたら雨が降るかもしれない、と思ったのです。

(次回、お天気のよい時にもっと登ろう)

下山途中、登るときには気づかなかった、項垂れているあずき色のどことなく不気味な妖気が漂っている花に目が留まりました。

大きく伸びて萎れかかっているのでしょうか。

写真に撮りました。

鳥海薊? が、薊にしては葉に棘がありません。

が、やはり鳥海薊のように見えました。

歌の結句は最初「鳥海薊はも」としたのですが、結局「かも」で抑えました。