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2021年5月20日木曜日

紫蕨青蕨 20210520

 

今日に知る紫蕨青蕨われ山菜とりの初心者なり

today, I learned 
there are two kinds of bracken
purple and green
I am a beginner 
at picking wild plants

(C)2021Rika Inami稲美 里佳


   ちなみに昨日の蕨採りで私は蕨には紫蕨と青蕨があることを知りました。採りおわった頃、私は付近の農家の男性と会いました。私のビニール袋のなかの蕨は透けて見えていました。

「なえでが、青蕨が。紫蕨でにゃばな」男性は言いました。

「えっ、蕨って、種類があるんですか?」私は訊きました。


「んだ」


「これって食べられないんですか?」

「喰えるごどはくえるごど、あんまりうまぐにゃべ。紫蕨がねばってうまにゃ」

 少しばかりでしたが、どうやら私が採ってきたのは、ほとんど青蕨のようでした。それでも食するに可ということで、私はほっとしました。このとき初めて、以前から気になっていたのですが、どうして私が採った蕨は売られている蕨と色が違うのかが分かったのでした。

「これがらだ。ほら、もっとあっこら辺りに入っていけば、紫蕨、採れるべ。まず、長靴履いてきてな」

 私の足元を見ながら男性は言いました。私はいつものスニーカーを履いてきていました。スニーカーは草むらの朝露でびっしょり濡れていました。男性が指さした方は山のもう少し奥まったところでした。もしや、熊が出たらどうしよう、怯えが私の胸を過りました。たしか、この辺りでも昨年の夏、熊出没の警報が出たはずでした。

 このぐらいで今年の蕨採りはやめようかなと思っています。たぶん......これで十分かなと思いながら、私は帰途につきました。


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山藤と朴 20210520


  山藤の朴に枝垂れて郁郁と皐月の調べふかくもわたる

 wisterias in the mountains

weeping on magnolias…

 sweet fragrance

deeply flows in the breeze

 the tune of May fills the air.


(C)2021Rika Inami稲美 里佳

 

 少し体調をくずしてしまいました。ここ2タ月半ばかり気がかりなことがあり、また今月に入って新しいことにも取り組んだりし、よく眠れない日があったせいかと思っています。お天気が良いにもかかわらず、好きな朝のウォーキングにも行かなかったことも、一因かもしれません。

 が、今朝は、新しくやろうとしていたことが一段落ついたので、蕨採りをしようと思い立ちました。山は青々と萌え出でる生気にあふれ、山菜も出ている頃です。実際、近所の人は山菜採りをしてきています。

 ビニール袋とビニール手袋を持ち、家を出ました。家から3kmぐらい先の里山の入り口付近に蕨を採れるところがあります。去年もそこで採りました。町を抜けてから国道の横断歩道を渡り、農道をしばらく行くと集落があります。

 道すがら目に入ってきたのは、五月の美しさです。あいにくの曇天ではありましたが、西空に控える山々に垂れ込み霞みがかっている雲は微妙な流れを見せていました。村里に入ると、桐の高い枝に花が薄紫色の花が咲いていて、いくつかの花はぽとりぽとりと道に散っていました。

 ―家に巣ごもりしているあいだに、もうこんな季節になったんだー

 その少し先の坂道をのぼり山への入り口付近に、蕨が採れる場所があります。が、既に人に入られていました。白いマスクが幾枚か落ちていたのです。

 ーまあ、こんなところにマスクを落としてー

 蕨は採られたあとなので、もちろん期待していたほど採れませんでしたが、それよりもマスクが落ちていたことに、私はがっかりしました。

 ここには大きな葉を広げ香り高い美しい花を咲かせる朴もあります。朴が咲くには早いかしらと思って見上げましたが、もう咲いていました。遮るものなく東西の陽光をいっぱいに受けて、ぽっぽっと大振りの葉のなかに白い花を咲かせていました。蕾もまだまだあります。ところが、なんとその朴を凌いで朴に接している山藤がぼおっと枝垂れ絡むように、紫色の香りゆたかに美しい花を咲かせてもいたのです。つづき


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My Tanka and me on 2526-27,47,67747880-81

TANKA HARAKO: 短歌 原狐 Kindle Edition

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こちらは現在、私の他のブログにて連載中です。

 


2021年5月15日土曜日

山桜 20210515

 

山桜かすみに浮かび如()くはなし我が幻想の現(うつつ)となれり

 

the peerless

is the mountain cherry

in the haze

my fantasy becomes reality

now it's here


(C)2021Rika Inami稲美 里佳


From Tanka by Rika Inami

Akita International Haiku Network


 この写真は15年以上前に秋田県湯沢市で撮ったものです。これまで桜の写真は毎年たくさん撮ってきましたが、私はこの写真が一番好きです。遠く雪を戴いた栗駒山に残雪を残した里山の連なり、撮った当時は私はこんな歌を詠っていました。


霞たつ春山あはく邪気のなき御伽話の世界あらはる (平成17年5月4日)


 この歌の初稿は忘れてしまいましたが、当時、私を歌会にさそってくださった仙台の友だちが少し直してくださったのを覚えています。あれから、この写真に合う歌を他にも詠いたいと思ってきましたが、この春、別の地で山桜を見て、上に掲載の1首が思いつきました。もしかしたら、またいつか、この写真への他の歌を詠う日があるのかもしれないと思っています。その歌がどんな1首になるのか、心持ち楽しみにもしています。


雲の輪で 魅力的な顔に 秘密月 真夜中で光は 夢を隠して。 顔付き を 空で探す 丸光 深切 なパッチ 時が噛むしわ。 月向こう 側で妖精光 地面に躓く 水溜まりの中で隠れて 岩間 で人探しを

(C) Ban Mihaly


遠くて鷺が叫ぶ
宿借りは腕で
星に
向かって手を振る
合図して一途を替える。

Távolban gém rikoltozik
Remeterákok karjaikkal,
Csillagok
Felé integetnek

Jelzésükre pályát váltanak.

(C) Ban Mihaly





Spring Energy 20210515


雪さりて農の仕事人かたりあふ農道にたつ鳥海の嶺

 

the snow is gone--

Mt. Chokai rises over

the farm road

where agricultural workers

talk to each other


(C) 2021 Rika Inami稲美 里佳


From Tanka by Rika Inami 45

Akita International Haiku Network


こちらのは、本日、秋田インターナショナル俳句ネットワークに

掲載していただいた1首です。

詠ったのは先月4月11日の朝の散歩時の風景を見てのことでした。

その清しさは格別なものでした。

散歩の帰り道、私は気まぐれにいつもと違う道をとりました。

山道を通る道ではなく平坦な漸く雪消が終わった田んぼが広がる農道、

と少し歩くと、数人の男の人たちが田んぼを見ながら語り合っていました。

農業に従事する人たちのようでした。

雪が田んぼに無くなって、いよいよ大地の生産シーズンの到来、どのように農作業していこうかと私には語り合っているように見えました。

私の歩みはだんだんその人たちに近づきすれ違うところで、私たちは「おはようございます」と双方声を掛け合いました。

こうして、すれ違ってから歩みを進めたあとで、視線を上げ見上げると真っ白な鳥海山の雄姿が見えたのでした。

This tanka was published today in Akita International Haiku Network.

I composed it on April 11 last month while taking a morning walk.

I felt exceptionally refreshing.

On my way back from the walk, I took a different path on a whim, not through the mountains, but along a flat farm road where the snow had finally melted away, and the rice fields were spreading out.

As I walked a little further, I saw several men looking at the fields and talking to each other.

They thought that they were farmers.

The snow has gone, and the season of production from the earth has finally arrived.

They seemed to talk about the way of farming.

I walked closer and closer to them and passed them; we said "Good morning" to each other.

After we passed each other, I looked up and saw the majestic white figure of Mt. Chokai.

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Ohayou gozaimasu...
rising sky high at long last
their greetings

(C) Ashoka Weerakkody

おはようと天高く昇る挨拶

Translated by Rika Inami


White snow

disappears from the land

and rises as a mountain

(C)Barry George




白雪や山へと解(ほど)けなほ高し

Translated by Rika Inami


新緑の姿雄々しき我の山/明宏




Mt. Chokai seen from Yokote Park.


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2021年4月27日火曜日

桜満開...横手公園20210427

 

淡紅に桜(はな)咲きみつるお城山うれひの春を束の間ほどく

Oshiroyama--

light pink sakura

in full bloom

briefly unwinds

my gloomy spring


Note: Yokote Park in Yokote City, Akita, is called Oshiroyama, which means Castle Mountain because there is Yokote Castle.

( C)2021Rika Inami 稲美 里佳


 当地の桜もいよいよ満開になった。先週、所要で横手市に行き、用事が終わったあと、横手公園で花見をしてきた。天気は快晴。横手公園は、横手城があり、お城山(おしろやま)とも呼ばれている。この山からは、横手市が一望できる。遠くには秋田富士あるいは出羽富士といわれる鳥海山が見える。



 花見といっても、散策だけであったが、幼稚園児も遠足にきていて、横手城のかたわらを歩く園児と互いに手を振りあったりして心なごむひと時を過ごした。一通りお城山を巡ったあとで、園児たちがバスに乗り込んでからの再開し、別れの挨拶、出会いと別れとは常にこうでありたいとも思った。

 朱色に塗られたお城の下にある牛沼に架けられた蓬莱橋の下では、釣りをしている人たちも見えた。風のない穏やかな水面に桜はリフレクションしていた。沼上にある建物は確か管理棟だと思う。桜は真昼の陽光に輝いて、透き通っている。この透き通った桜への歌は私のもう一つのブログに掲載している。
  




2021年4月22日木曜日

春の憂鬱/ Spring Melancholy 20210422

 

哀しみは春の憂ひとなりにけり夜毎の夢の冥き色合ひ

my sorrow
becomes melancholy of
spring
nightly dreams have the dark hue
in hades
 
( C)2021Rika Inami 稲美 里佳


先日、とても考えさせられたことがあった。
ある人に「それが何の意味があるのか」と問い詰められたからだ。事の詳細は書かないが、「意味がなければ、事を起こしてはいけない」と言われたように感じ、考え込んでしまった。
私の答えは決まっていた。
「社会正義のため」
これに対して彼は
「そういうのは、もっと上の人たちがやる問題だ」と言った。私が口にするのは憚るべきだと言わんばかりであった。
一瞬、むっときたが、ここはいつもの我慢、私はぐっと抑えこみ、相手が納得するような答えを言って事をおさめた。

大きくうねり変化してゆく時代の片隅に生きつつも、小さな存在の抗議告発もいつか大きく輪を広げ、泣き寝入りせず諸悪に対抗し、正義が貫かれる社会を願い目指し、私は生きてゆきたい。

「四知(しち)...後漢書」 天知る、神知る、我知る、子(人)知る。

 

In English

Yesterday, I was very thoughtful.
Someone asked me,
"What is the meaning of that? "
I won't go into the details, but I felt as if I was being told, "If it doesn't make sense, you shouldn't do it.
My answer was obvious.
"For justice."
To this, he replied
"It isn't your matter. That's a matter for those higher up," he said.
He seemed to think I should not dare to say anything about it. 
For a moment, I felt angry, but as usual, I kept my patience and ended the conversation with an answer that would satisfy him.

Though I live in the corner of the swirling and changing times, I hope that my small protests and accusations will someday expand into a larger circle, that I will be able to fight against evil without crying myself to death, and that the world will become where justice is done. 

"The Four know ... from Houhan Shu" means:  Heaven knows, God knows, I know, and You know.


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2021年4月21日水曜日

Tanka by Rika Inami44の歌から 2

 

 秋田国際俳句ネットワークの短歌ページに掲載して頂いている歌の多くを、私は掲載月の前月に詠った歌から選んでいる。今回の前月といえば、3月だ。冬には雪深い当地はまだ花の季節ではない。雪解(ゆきげ,雪消とも書く)の頃だ。大量の降雪はほぼ2月に半ばには治まって、それ以降は、次第に雪が降っても春の香りがする淡い降雪になってくる。そして、晴れて太陽の陽が差せば、雪解けは急速に進む。空は雪が蒸発することから生じる濃い靄、霞みで晴れても薄青い。では、地はどうかというと、雪解の頃は、それが進むにつれ、見た目に決して美しいとはいえない。白い雪は、土と混じりあい、雪塊は土に汚されたような景観を呈する。が、春の匂いはする。ほのぼのとした温かいものが嗅覚から伝わってくる。3月の温かい陽と地からの土の混じったものだ。

 その日、既に4月に入っていた。雪解けもかなり進んでいた。私は花を詠いたいと思った。家のなかに置いてある鉢植えの花ではなく、戸外で道端で見かける花の歌だ。残念ながら、まだどこを見回しても花は咲いていない。雑草の花さえもだ。田んぼを見れば、どっと一度に解けた雪が土と混じって大きな泥の水たまりを作っている。ふと私は、これをそのまま詠ってみようと思った。


ゆっくりと我たちあがり雪しろの泥(ひじ)の鏡に姿映しぬ     
 
gradually
I stand up and reflect
myself in the mirror
of the muddy water
from the melting snow


 (C)2021Rika Inami 稲美 里佳

まえ  つぎ

   In English

       I choose most of the tanka pieces on the Akita International Haiku Network's tanka page from the tanka I wrote the month before publication. This time, the previous month was March. March is not yet the season of flowers in our region Akita, covered with snow in winter, but the time of snow melting. The heavy snowfalls subside till the middle of February; after that, the snowfall becomes lighter and lighter, with the scent of spring. And when the sun shines, snow melts rapidly. The sky is pale blue even if the weather is sunny because of the thick haze and haze caused by the evaporation of snow. The ground, then, is not as beautiful to look at as it is when the snow melts. The white snow mixes with the soil and the clumps of snow look like scenery as if they were stained by soil. The smell of spring is therethe warmth of the March sun mixed with the soil from the ground.

     That day, it was already April. Snow already melted, and I wanted to compose tanka on flowers, not the potted flowers inside, but the flowers outside on the path. Unfortunately, no matter where I looked, there were no flowers in bloom. Not even the weed flowers. Then, when I looked around there, I saw the rice fields; the snow had melted all at once and mixed with the soil to form a big puddle of mud. Suddenly a feeling came over me that I should try to write a poem about this as it was.


gradually
I stand up and reflect
myself in the mirror
of the muddy water
from the melting snow


 (C)2021Rika Inami 稲美 里佳


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My Tanka and me on 2526-27,47,67747880-81

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こちらは現在、私の他のブログにて連載中です。