かねてより知りたき木の名を知りえたり
昨夜(きぞ)の雷避(よ)くやキササゲ
以前から知りたいと思っていた木の名前が分かりました。キササゲの木です。
ささやかな「知る」というイベントですが大事にしています。いつもの散歩中、知ったきっかけは、その木が花を咲かせていたからでした。
それなりに高い木で、四方にひろげている葉と垂れ下がっている実は、何となく見ていて木名を知りたいとも思ってはいましたが、調べることに熱意はありませんでした。
その木の花を見るのは初めてでした。
<あれ、ここに花が咲く木なんて、あったっけ?>
少し遠目では白っぽく親指ほどの花を鈴なりにつけていました。
近づいてみました。
一つ一つの花は蘭に似ています。
葉っぱは大きく葛に似ています。
木の下で、私はiPhoneで調べました。
ありました、ありました、ノウゼンカズラ科の落葉高木のキササゲ(木大角豆)です。きっとキササゲです。別名も私は調べます。木や花の名前にはよく別名があり、歌を詠む場合、別名を使った方が風情が出る場合があるからです。
カミナリササゲ、カワギリ、ヒサギとも呼ばれています。中国名では梓とのこと。梓について調べると、新旧細かい分類上の行き違いがあるようです。万葉の時代から歌に読まれた梓は、現在はキササゲではなくカバノキ科のヨグソミネバリ(ミズメ)が定説とのこと。が、本来的には梓はキササゲとのこと。なんだか頭がこんがらがってきました。
また梓についていえば、それは令和の徳仁天皇の御印とのこと。
私はここで大変な木を知ってしまったように感じました。「梓-あずさ」「梓弓」「上梓(じょうし)」とよく本の中で見たり聞たりしてはいましたが、実際、梓とはどんな木か知りませんでした。実物を今まで知らなかったのが恥ずかしくなりました。
おそらく何処からか飛んできて根をおろした野生の木だとは思いますが、名前を知り好きになりました。
梓という名前が気に入りました。万葉の時代の梓がどうやらミズメだったとしても、梓=キササゲは中国本来の木名です。
しばらくは梓を見上げ佇まむ
花の心に現(うつ)し身よせて
万葉の時を経たるや梓の木
幾年過(よ)ぎりわれ此処にあり
その花容 蘭にも似たる梓花
東西行き交ふ歴程おぼゆ
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