人を殺(や)る事情は深く燃えあがる
地の闇さらす銃狙撃事件
(C)2022稲美 里佳
2022年7月8日、安倍元総理大臣が参議院選挙の立候補者の応援演説中に銃で狙撃され亡くなりました。
容疑者は凶弾事件発生後に即刻現行犯逮捕されました。
時は7月10日参議院選挙日を間近に控えていました。
事件を知った当初、私は、この日本でも一国の首長級を狙ったテロまがいの銃撃事件が起きたことに並々ならない衝撃を受けました。
間もなくこの凶悪事件の容疑者の犯罪理由が明らかになりました。
犯罪理由は安倍元総理大臣の政治信条等が理由ではなく、宗教団体に関係していたのです。
私はそのことを知り参議院選挙の前日にWEB上のニュースで知りました。
問題の宗教団体とは旧統一教会、安倍元総理は一家三代にもわたって関与していたということ。
私はそのことを知り、安倍元総理の殺害に併せて更にショックを受けました。
旧統一教会といえば、信者に破産するほどの献金を要求したり高額な宗教グッズを買わせたりで、しばらく前から、いわゆる私にとっては特殊な宗教団体でした。
訓えの中味は知りませんが…… 基本的に宗教の訓えや教条とは似たりよったりと思っています…… 私にとっては耳にしただけで、オウム真理教にほぼ匹敵するほど身震いするような集団です。
が、なぜか、そのことはテレビやWEB上のニュースでは大きく取り上げられていませんでした。
宗教団体の具体的な名前が明かされ、統一教会の代表の会見があったのは参議院選挙後でした。
私はこの点で、メディアが大きな力に左右されているなと思いました。
それとも無念の死を遂げた安倍元総理大臣に敬意を払い悼みの気持ちを先んじたのでしょうか。
どうもおかしいと首を傾げながら、私は参議院選挙日には投票してきました。
安倍元総理は統一教会の信者でもなく顧問でもなかったということですが、大集会にビデオメッセージを送っていたとのこと、これはそれなりに関与していたということは事実だったと私は解しています。
その昔、選挙とはお金で動いていました。都会のことは知りませんが、少なくとも私が住んでいる地域は金と地縁血縁が票を決めるといわれていました。
特に「金を握らせる」ことです。
もしかしたら、このやり方は都会であれ地方であれ全国的なものだったのかもしれません。
どんな優秀な人間であれ、金と地盤が無ければ当選することはできなかったのです。
日本の教育の成果でしょうか。近年、この有権者に直接金を握らせ票を買い取る傾向はかなり薄れてきたように思っています。
おそらく当地からは無くなったと思います。
金絡みでなくなった現代の選挙は少なからずクリーンになった、良かった、良かったと、呑気な私は思い込んでいました。
が、その思いは今回の安倍元総理銃撃事件で覆されました。
国政を左右する選挙の票獲得、集金手段が、どうやら宗教団体等との癒着になっていたようです。
仮に山上容疑者を正気と見なすと、一人の人間が他殺であれ自殺であれ、「人間を殺す」という行為を計画するには並々ならない事情があり、それを実行するには周到の用意と決断力、実行力を要したと思います。
旧統一教会への個人的な怨恨から、無関係の安倍元総理を殺したのは論理的ではないという説もありますが、晴らせない恨みはとかく増大し、それが日を追って長くなればなるほど恨みの矛先は周辺の人間にも及び範囲は拡大するでしょう。
恨み先の周辺に存在し可視的に見えているということは、恨み先と同類の人間であり、その関係者と見做しがちになります。
人間は論理だけで生き行動する生物ではありません。
一国の長にも就いた政治家たる者、行動には慎重でなければならなかったのではないでしょうか。
或いは、こうした人間の行動を論理的に推量できなかったから、軽率に行動し殺されたのでしょうか。
或いは、個人など眼中に無いちっぽけな蟻一匹のような存在であり、踏み潰すだけでこの世界から消滅すると思っていたのでしょうか。
今後はこの事件を機に、不気味な宗教団体等と政治の関係の闇が明らかににされ、国民の安全が心身共に脅かされず、一人一人が尊重されるよりクリーンな社会が実現されることを祈っております。
合掌
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